Web Magazine Tractions編集部
古谷重治記
週はじめに「ホンダが四輪新車オンラインストア『Honda ON(ホンダオン)』をオープンしました」というニュースが、ネットやテレビ、新聞に一斉に取り上げられた。クルマのオンライン販売が新しい手法としていかに注目されているかが分かる出来事だった。『しかし、クルマをネットで買うかな?』と自問自答した。いろいろな要因やケースを考え頭を巡らせると、答えは『否』と出た。クルマはディーラーに出かけて買うものでしょう。
小生は、長年アップルコンピュータのユーザーで、Macを買い換えるときは同社のオンラインストアで購入することに抵抗がない。店舗ではできないカスタマイズが可能だというメリットもある。作業に必要なCPUの性能やメモリ、ストレージの容量を選んでクリックして購入する。下取りもあり補償制度に加入もできる。Webブラウザ上で選択をするごとに合計金額が上書きされ、その見積もりに納得し画面をクリックすれば数日後には段ボール箱に梱包された商品が宅配便で届く。支払いは、分割か一括で、クレジットカードを通して指定口座から引き落とされる。
ところがクルマとなると、オンラインストアで購入するという概念が無いため、ものすごく抵抗感を覚える。『決断してタップすると、数日後には我が家の狭い道路に面した駐車場に、ドデカい車両搬送用のトレーラーがやってきて、納車していくのかな?』と想像して首をひねる。どうも現実的でない。それに、これまでクルマを買う時に用意した車庫証明や、ディーラーで何枚も書かされた気がする書類への記入はどうするのだろう? 疑問ばかりが頭の中を駆け巡る。
何もしないで悩んでいても仕方がない。それならば疑問解消のために「Honda ON」に行って確かめてみればいい。行くといっても外出するわけではない。居ながらにしてネット・サーフィンするだけの話だ。
上記URLをクリックすると、「オープンしました」と宣言しただけあって、立派なサイトが出来上がっていた。そして、よく読むと「Honda ON」のメインの販売方法は月額使用料を払うリース契約だった。『パソコンやスマホのソフト使用料を毎月支払うように、そうかクルマをサブスクリプションするのか』。
現在選べる車種は、「N-BOX」「FIT」「VEZEL」「FREED」の4機種。それぞれの車種に月額の基本料金が表示されていて、「プラン詳細へ」進むと、タイプや、駆動方式、ボディカラー、3年か5年の契約期間、ボーナス払いの有無などを選ぶことができる。選ぶとすぐに毎月の支払い額が表示される。アップルのストアでMacを買うときと同じ感覚だ。自動車保険加入もでき、買取査定もしてくれる。ちなみに「VEZEL」で4WDを選び5年契約の場合は月額50,860円(メンテ・税込)。期間終了後残価を支払って購入もできるそうだ。
こうして選択がひととおり済むと会員登録があり、その後納車やメンテでお世話になるHonda Carsの店舗を選ぶことになる。クルマ受取に必要な記入書類は郵送で届き、住民票や車庫証明などとともにレターパックで返送する。『それなら分かる。早く言ってよ』ひとりガッテンして、ようやく「Honda ON」の商流と物流を理解した。
「Honda ON」の利点は、金額がすぐに可視化されるところにあった。あれを加え、このオプションも付けるといったい、いくらになるの? という見積もりシミュレーションが何通りもすぐに試せる。『いいんじゃない、Honda ON』。
現在「Honda ON」を利用できるのは、東京都内在住かつ東京都のHonda Cars(84拠点)に納車やメンテナンスの際に行けることが条件だ。エリア拡大は来年以降に図られる。
ところで、バイクユーザーでもある小生としては、もうひとつ気になることがあった。レンタルとリースの違いこそあれすでにスタートして会員を増やしているバイクレンタルサービスの「Honda GO」と、この「Honda ON」がかなり似ている点だ。「Honda GO」の貸出時間は55時間ほどのものだが、これを3年〜5年に伸ばすと「Honda ON」になる。となると『いつしか、バイクもネット購入という時代がやってくるかもしれない…、それもいいかも…』などと空想する。つい、さっきまでネットでクルマを買うことに違和感を覚えていたクセに…。
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下記URLは「Honda ON」を利用するためのガイド動画です。とても分かりやすいので覗いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=dY7seL-US8M
全国260店舗でHondaのバイクレンタルサービスを受けられるHonda GOは、以下のサイトから予約できます。