CRF1000L にもう一度乗ってみた。

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先頃の東京モーターショーにも展示された、パラレルツインになってからのアフリカツインの2代目、CRF1100Lが発表された。 僕の中では、ビッグオフローダーで優れたツアラーでもある大好きな一台、CRF1000Lをもう一度乗ってみた。

CRF1000L Africa Twinのコンセプトの起源は1980年代後半のパリ・ダカールラリーにさかのぼる。20日間15,000km、砂漠を含むオフロードを走り切るために50リットル以上もの燃料タンクを搭載し、信頼性あるエンジンと、強靭なフレームと足まわりを装備して、なおかつライダーを疲労させない操縦安定性が求められた。当初ホンダの活動はNXR750でのワークス活動のみで、V型エンジンを搭載したNXRで挑戦を始め、結果を求めながらオフロード高速長距離移動の信頼性、走破性、快適性を追求し、1986年のデビューから4連覇を成し遂げた。NXRは最強のビッグオフローダーであり、最高のアドベンチャーツアラーだったことを記憶している。

ホンダは1982年にオフロード長距離移動用バイクとしてXL250Rパリ・ダカールを発売している。その後は「パリダカ」系バイクはビッグ・シングルへと成長、1985年にはホンダXL600 Rファラオ発売。その後にトランズアルプからV型エンジンへと採用、ビッグオフローダー、アドベンチャーツアラーのジャンルを確立した初代アフリカツインへと進化していった。しかし、その後アフリカツインにはブランクがある。

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10数年振りに再デビューしたアフリカツインは、新たに水冷インライン2気筒を搭載していた。DCT付きの新世代のエンジンにはDCTモデルも追加、最新のアルミフレーム、足まわりを採用して現代に復活した。

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そんな本格的なコンセプトでなおかつそれに十分応えるバイクのためCRF1000L Africa Twinというとオフロードイメージが強いが、ツーリングが好きな人には、たとえオフロードを走らないとしても乗って欲しいバイクだ。僕のロングツーリングのパターンは1日目が高速道路を使っての700km前後の長距離移動、そして2日目以降は一日300〜400kmの移動というものが多いが、こんな行程も疲れることなく快適に走りきることが出来る。エンジンの圧倒的な余裕、快適で安定感ある足周りとハンドリング、高速道路ではスクリーンが風圧を遮断してくれるからでもある。

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ワインディングロードにも強い。タイトコーナーではステップを擦るほどバンクさせることが可能なことに気づくだろう。オフロードに出くわした時に入っていける強みがある。道幅が十分とは言えない一車線の林道でも走行が楽しめる。道を選ばないすごいバイクだ。
僕の場合、Uターンは苦手だけど、それ以外の使い勝手で困ることはない。チョイ乗りから遠乗りまでどんな用途にも応えてくれる。このバイクに乗っている女性を見かけたことがないが、女性にも乗って欲しいと思う。ツアラーとしての完成度の高さは抜群だ。

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ライダーを拒んでいるのは、大柄なポジションだと思われる。シートは取り付け位置により20mm下げることが可能だ。別にローダウンシート仕様の選択肢もある。また、ハンドル幅を適切に合わせるなどのチューニングが出来ればさらにフィットするだろう。大きいことで敬遠されているが、アフリカツイン自体はライダーを選んでいない。実はとても乗りやすくて快適なバイクなのだ。

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このバイクを購入するときは、デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を選びたい。走らせ方に合わせ、いかにリニアに反応してくれるかを感じて欲しい。DCTもスロットル・バイ・ワイヤーになった3世代目になって、シフトがより素早くなっている。また、ドライブモード中でもマニュアルでのシフトが可能になっている。そのレスポンス、タイミングがいい。

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バイクも長い時間乗っているとクラッチ操作が辛くなってくることがある。特に早朝から乗り始めた夕方の市街地渋滞路走行などで大いに助けられるだろう。そしてDCTはエンストしない。この恩恵を享受できることを喜びたい。さらにアクセルワーク次第でトライアル車のように極低速で走らせることもできる。

DCTはオートバイが本来持つ操る楽しみを阻害するものではない。スポーツ走行をより高次元で楽しむことができ、なおかつ必要に応じてライダーに楽をさせてくれる存在になっている。

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新たなアフリカツイン、CRF1100L Africa Twinはすでに発表されている。
CRF1000Lはチューブタイヤだったが、次期モデルCRF1100L AdventureSportsでは高速移動等でより信頼性が高いチューブレスタイヤが採用され、さらに電子制御サスペンションも設定されている。

国内では、ローダウンタイプを中心のモデル展開が予想されるが、オフロード志向のアフリカツインファンに向けて足の長い世界標準モデルも用意されそうだ。

次世代では1,100ccになるアフリカツインはさらに進化して乗りやすくなっているだろう。

新型モデルの詳細は製品詳細:https://www.honda.co.jp/CRF1100L/

文:モリ ヒサシ  撮影:原 富治雄

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