昨年11月に投入された第５世代めの新型は時代を反映する最先端技術を満載。そこにはいかにもホンダ車らしいこだわりの数々と価値ある先進機能が披露されていた。
開発コンセプトのキーワードは「昂ぶりと充足」。世界に数あるラグジュアリーサルーンの中にあっても、ドライバーズカーとして操る歓びを忘れていないところにホンダらしさが込められていると言うわけだ。
車体サイズは4995×1890mm。軸距は2850mmと大きい。ドッシリと重い車体は２トンに迫る。しかしそれらをマイナス要素としては感じさせない乗り味にホンダマジックがある。Ｖ６直噴3.5Ｌ＋３モーターのハイブリッド車でトータル出力はなんと281kW（382ps）。実際その動力性能は文句ない。しかも可変シリンダーシステムでクルージング時には前バンクの３気筒で前輪を駆動し経済的に巡航。もちろん発進時等はモーターによる後輪駆動でスタートするハイブリッド構造も相まって16.8㎞/Lという好燃費率も誇っている。
特筆すべきは、後輪を駆動するツインモーターは回生ブレーキも含めて左右輪を個別に制御。旋回時に内輪を回生しながら外輪を駆動することで旋回性向上に貢献。最新のSH-AWD（４輪駆動力自在制御システム）として緻密なエネルギーマネージメントだけでなく、操安性にも寄与させている点が秀逸だ。
実際、下り坂に出現した急コーナー等でも実にすんなりと曲がってくれた。ロール止まったところでタイヤのグリップに限界を感じて慌ててしまうことがない。至って落ち着きはらった走りの中で、簡単に車の向きを変えて行ける、実に気持ちの良い優れた回頭性には、誰もが驚かされるに違いない。
室内環境も最新設備で充足されている。音響に関しては専門外だが、14スピーカーを備えたKRELL サウンドも特にピアノ音源の優れた再現性は抜群だった。
その乗り味からは、ゲストをもてなす上でのラグジュアリーセダンに相応しい豪華装備だけではなく、あくまでもドライバーズカーとして、オーナーが誇りをもってハンドルを握っていられる。レジェンドを選択することそのものに、価値が感じられ、満足させられるだけの資質を備えていると思えた。
おそらくこの車にゲストを乗せた時は、しばし、車談義に花が咲くことだろう。（モータージャーナリスト：近田 茂）
Honda LEGEND ＜Hybrid EX＞
車名・型式：ホンダ・DAA/KC2
全長（ｍ）/全幅（m）/全高（m）：4.995/1.890/1.480
ホイールベース（ｍ）：2.850
トレッド（ｍ）前/後：1.630/1.630
最小回転半径（ｍ）：5.5
最低地上高（ｍ）：0.145
車両重量（kg）：1,980
乗車定員（名）：5
客室内寸法（m） 長さ/幅/高さ：2.080/1.540/1.115
エンジン：V6 3.5L 直噴i-VETC
エンジン最高出力(kW[PS]/rpm)：213[314]/6,500
エンジン最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm)：371[37.8]/4,700
モーター最高出力(kW[PS]/rpm)：前35[48]/3,000 後27[37]/4,000(1基当り)
モーター最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm)：前148[15.1]/500-2,000 後73[7.4]/0-2,000
駆動方式：４WD(SPORT HYBRID SH-AWD
トランスミッション：７速オートマチック＋パドルシフト
走行燃料消費率（JC08モード）国土交通省審査値（km/L）: 16.8
メーカー希望小売価格 ￥6,800,000(消費税込み)
